土壌学とは。。。
土壌学とは,その文字通り「土」を研究する学問分野です。土は地質(無機成分)の影響を強く受けたものですが,生物(微生物や植物,土壌動物など)の活動が関与し育まれることではじめてできあがる自然体です。一般に,地質学は理学部に属しますが,土壌学は農学部に属している事に注目してください。生命の営みが無くては土は成り立たないのです。
生物地球化学的循環と土壌
土壌は陸域で最大の炭素貯蔵庫!
土壌には陸上植物と大気二酸化炭素の合計量の2倍以上もの炭素が土壌有機物として蓄えられています。従って,生物地球化学的循環(Biogeochemical cycle,生物学的,地学的,化学的プロセスが極めて複雑に絡み合いながら地球表面の物質とエネルギーを循環させる過程のこと)にとって,土壌有機物は極めて大きな働きをしています。生物地球化学的循環を定量することは簡単ではないですが,還元態炭素(有機物中の炭素)を分析することで,有機化合物の総量とフラックスを決定することができます。私たちは土壌有機物を種々の炭素分析手法を用いて分析し,とりわけ土壌有機物の分解性(どういった条件で土壌中の有機化合物の微生物分解速度が決まるのか?)に着目して研究を行っています。
関連テーマ
進行中
- 熱帯〜亜熱帯マングローブ林(石垣島・タイ・フィリピン)における土壌有機物の安定化機構
- バイオチャー散布による森林土壌有機物・溶存有機物・土壌特性への影響評価
- バイオチャー散布後の森林土壌におけるブラックカーボンの動態解析
- バイオチャー散布後の森林土壌の緩衝能の評価
- 日本各地の土壌有機物の形態別貯留量や組成とその規定要因
- 樹木直下の土壌有機物量評価
- 高標高チベット高原における土壌有機物の貯留機構
- 南極における土壌の初期生成過程
終了
- 高緯度北極地域・スコットランドにおける土壌炭素の組成解析と海洋流出評価
- 水田の長期連用による土壌有機物への影響評価
- 炭素貯留型有機資材の開発
天然有機物の組成とその規定要因
何が天然有機物の分子組成を決定するのか?
天然有機物は数多の有機成分の混ざりものです。天然有機物を構成する各成分の環境中での挙動や安定性はその分子組成が大きく影響を及ぼすので,分子レベルでの組成解析が必須です。吸光・蛍光スペクトル,核磁気共鳴分光(NMR),超高分解能質量分析計(FT-ICR MS)などを用いた組成解析をおこない,多変量解析手法を駆使してその規定要因を解析します。
関連テーマ
進行中
- 熱帯〜亜熱帯マングローブ林(石垣島・タイ・フィリピン)における土壌有機物・溶存有機物の組成解析とその規定要因
- 琵琶湖における溶存有機物と微生物との相互作用
終了
- 南極湖沼・河川における溶存有機物の分子組成とその規定要因
- 高緯度北極湿原における永久凍土融解水への光分解の影響
土水分析法の開発とその適用
土壌や河川水の有機物と元素の移動を探る
土壌や水に含まれる有機物の分析法を開発し,天然環境で起きている物質循環プロセスやその運命の理解を深めることを目指しています。
関連テーマ
進行中
- 特殊1H NMR法による土壌と河川の有機物解析法の応用
- 世界各地から採取された多様な腐植物質の分子レベルキャラクタリゼーション
終了
- 樹脂による河川中有機物の分離濃縮法の開発
- 異なる地域(スコットランド・ケベック・モンゴルなど)の土壌と河川の物質移動
- 様々な腐植物質による鉄・銅との錯体形成能評価
- 腐植物質のサイズ分布解析法の開発
- 腐植物質のメチル化反応の最適化
- 土壌中有機色素の定量法の開発
重金属・放射性元素・人工物による土壌汚染・影響評価と修復
土壌汚染のメカニズムや影響と修復技術を探る
重金属(ヒ素や鉛など)や放射性元素(プルトニウムやセシウムなど)による土壌汚染は我々の健康を脅かす脅威です。これらの汚染元素が土壌中に留まったり移動するメカニズムに関わる研究と,植物を利用した土壌からの汚染元素の除去について研究しています。また,マイクロプラスチックやカーボンナノチューブなどの人工物が土壌動物や植物に与える影響を研究しています。
関連テーマ
進行中
- ファイト・エクストラクション(植物による土壌重金属吸収)関連研究
- マイクロプラスチックがシマミミズに与える影響
- カーボンナノチューブが植物・シマミミズに与える影響
- 腐植物質による残留性有機汚染物質の吸着に関する研究
終了
- 放射性同位体元素と土壌有機物の結合メカニズム
- 福島第一原発事故後の森林土壌における放射性セシウムの移行挙動
農産物や植生と土壌
農産物や植生と土壌の関係を探る
地域特有の農産物の生産は土壌の様々な特性によって左右されています。また,草原や森林の保全,緑化事業などは土壌の特性を理解した上で計画・管理しなければ持続できずに破綻します。ここではそうした土壌の特性を理解するための研究を行っています。
関連テーマ
進行中
- 腐植物質が畝間カバークロップに与える影響
終了
- 灰屋で作製した焼土を用いた栽培方法が丹波黒大豆の品質や生育に与える影響
- 兵庫県特産小豆・大豆と土壌の関係
- 長野県カヤ場の維持再生と土壌の関係
廃棄物の循環型利用
未利用資源の可能性を探る
関連テーマ
進行中
- Coming soon…
終了
- 酒造工程における炭濾過廃材の農業改良資材としての活用
- 外来生物の堆肥化利用
- 余剰汚泥と竹チップによる堆肥の有効性